140号 「職住」から「食住近接」の時代へ。~東十条銀座通り商店街で実現するタイパの暮らし~
不動産投資において、駅徒歩分数やターミナル駅へのアクセス利便性は、空室リスクを測る第一の指標とされてきました。しかし、リモートワークの普及や共働き世帯の増加といったライフスタイルの変化に伴い、入居者が住まいに求める価値の優先順位も変化しています。その中で、今注目しているのが、東京北区に位置する「東十条」です。隣接する“赤羽”や“十条”といったエリアに隠れがちですが、実は賃貸需要が非常に堅固な「穴場の実力派エリア」といえます。今回は、東十条の「生活利便性」に焦点を当ててご紹介します。
現代の賃貸ターゲットが求める「食住近接」のタイムパフォーマンス
かつての賃貸市場では、オフィス街へのアクセスを重視した「職住近接」が叫ばれていました。コロナ禍で、フルリモート勤務を導入していた企業でも、現在では週に複数日の出社を求める「ハイブリッド型勤務」へ移行するケースが増えているようです。
こうした中、多忙な現代の働く世帯が切実に求めているのは、通勤の利便性だけでなく、日々の買い物や食事を身近な場所で済ませられる「食住近接」によって、時間を有効に使えるタイムパフォーマンス(タイパ)の高い暮らしです。
特に20~30代の共働き(DINKS)世帯やプレファミリー世帯、そして単身の社会人にとって、「日々の食事の準備・買い出し等のストレスをいかに減らせるか」は住み心地に直結する問題です。また、賃料面でも1駅隣の赤羽駅や周辺の十条、王子駅などの築10年以内のマンションと比較しても2~4万円程度毎月の賃料を抑えられ、世田谷区や杉並区、
中野区等の城南~城西の人気エリアとは5万円程度割安な印象です。
東十条駅は、JR京浜東北線で上野・秋葉原・東京・有楽町・新橋・浜松町・高輪ゲートウェイ・品川と都内東側主要オフィスを縦断するアクセスの良さが魅力です。さらに、徒歩10分ほどのJR埼京線の「十条」駅を利用すれば、池袋・新宿・渋谷方面へ、南北線「王子神谷」駅を利用すれば飯田橋・永田町・六本木一丁目方面へアクセスできます。東京の東側、中央、西側を縦断する3路線を使い分けられるため、「職住近接」はもちろん日常のおでかけにも便利な立地であることは間違いありません。
その中で、東十条駅周辺には、複数の大きな商店街が残っており、駅北口から伸びる「東十条銀座商店街」には約160のお店が約1kmにわたって一直線に並んでいます。
≪2026年10月撮影 東十条銀座商店街≫
商店街が叶える「食住近接」の3大メリット
- 夜21時まで頼れるテイクアウト・お惣菜文化仕事帰りの疲れた体でスーパーに寄り、食材を選んで調理・片づける時間を削減できる環境が整っています。商店街には精肉店、鮮魚店のほかに手作りの惣菜店が並び21時頃まで料理や惣菜のテイクアウトができるお店もあるため帰宅が遅くなる日にも便利です。
- 生活動線の圧倒的なコンパクトさ駅からの帰り道にドラッグストア、惣菜店、クリニック、外食チェーン店、コンビニ、スーパーなどが立ち並び、生活動線が完結しているため、忙しい社会人層に選ばれ続ける大きな魅力になります。
- 夜道の安心感と防犯性夜遅くまで街灯が明るく、商店街の人通りがある環境は、一人暮らしの方や共働き世帯にとっても安心材料のひとつになるでしょう。
賃貸系・アセットマネジメント目線での分析
投資家・家主の視点から東十条をみると、周辺の人気駅に劣らない利便性の高さを享受できる環境にありながら、賃料は抑えられ、平日の家事負担が軽減できる食環境がそろっています。こうした利便性の高さから、東十条は単身世帯からプレファミリー世帯まで長く住み続けられる、一度住むと離れがたくなる魅力を持っている街だと思います。
筆者も実際に、10月の日曜日に商店街の散策に行ってまいりましたが、各店舗の軒先には、テイクアウト専用のカウンターがあり、商店街の方々の呼び込みの声から、昔ながらの商店街の活気を感じることができました。日曜のお昼時ということもあり、家族でお買い物や外食を楽しむ方の姿も多く見られました。また、友人同士でどこのお店でランチにしようかと話しながら商店街を歩く様子も見られ、飲食店の選択肢の豊富さがうかがえました。もちろん、個人商店だけでなく、ファストフード店やドラッグストアも揃い、周辺には小学校、病院、郵便局、区民センターなどの施設がまとまっているため、すべてが徒歩圏で完結する生活利便性の高い立地は住んでからの満足感が高そうだなという印象です。また、街全体が平坦でアップダウンが少ないことも魅力で、自転車やベビーカーでの移動にも便利だと感じました。加えて、北区は2021年から5年連続の待機児童ゼロを達成しています。東十条駅周辺にも多様な保育施設が集中的に配置されているため、共働きの子育て世帯にとって
保育環境の充実とコンパクトな送迎動線によって、子供と過ごす時間を確保しやすく、生活の質(QOL)の向上につながります。こうした環境は、入居後の長期定着や再募集時の迅速な客付けを支える強みになるかと思います。
今回の散策では、東十条の顔といえる、「黒松本舗草月」さんへもお邪魔し、東京三大どら焼きの一つ「黒松」をいただきました。「全国菓子大博覧会」で金賞をとり、「東京五つ星手みやげ」の表紙を飾った味は絶品でした。都心へのアクセスと手ごろな賃料水準、平日のタイパをかなえる商店街等、東十条は、賃貸経営において手堅く魅力的な「実力派エリア」だと思います。利便性の高さは、安定した賃貸需要を下支えする重要な要素の一つです。しかし、東十条の魅力は利便性だけではありません。次回【後編】では、周辺の自然環境や多文化でエキゾチックな街の魅力についてもご紹介したいと思います。