139号 相次ぐ自然災害。不動産にも求められる災害への備え

今年は、豪雨や暴風、地震などによる建物被害のニュースが相次いでいます。災害による不動産への被害は、建物の損壊や浸水だけではありません。停電や断水、エレベーターの停止、電気・ガス設備の故障など、建物自体に大きな損傷がなくても、生活や賃貸に支障が生じることがあります。
日本で不動産を所有する以上、自然災害のリスクを完全に避けることは難しい一方、物件選びや日頃の備えによって、被害やその後の影響を抑えることはできます。不動産を購入・所有するうえで知っておきたい災害リスクと、その対策について考えます。

不動産で考えておきたい主な災害リスク

不動産に関係する自然災害には、さまざまなものがあります。豪雨による河川の氾濫や内水氾濫、高潮などでは、住戸だけでなく、地下にある電気設備や機械式駐車場などが被害を受ける可能性があります。
地震の場合は、建物そのものの損傷に加え、配管や設備の破損、停電や断水、エレベーターの停止など、生活に幅広い影響が及びます。また、台風や突風によって屋根や外壁、窓ガラスなどが損傷する風災にも注意が必要です。
さらに、地震後の火災やガス漏れ、浸水による電気設備の故障など、一つの災害をきっかけに別の被害が発生することもあります。特にマンションでは、自分の所有する住戸に直接被害がなくても、共用設備が被災することで建物全体の利用に影響が及ぶことがあります。

物件を選ぶときに確認したい「立地」と「建物」

物件を検討する際には、まずハザードマップを確認し、洪水や内水氾濫、高潮、津波、土砂災害など、その地域にどのようなリスクがあるのかを把握しておくことが大切です。
ただし、ハザードマップ上でリスクが示されているからといって、単純に「購入すべきではない」と判断するものでもありません。想定される浸水の深さや建物の階数、電気・給排水設備の位置、止水対策、耐震性能、築年数など、建物側の条件もあわせて確認する必要があります。
利便性や賃貸需要の高いエリアにも、一定の災害リスクが存在する場合があります。そのため、リスクの有無だけを見るのではなく、「どのようなリスクがあり、それに対してどのような対策が取られているのか」という視点で物件を見ることが重要です。

購入後・所有中にできる災害への備え

災害への備えは、物件を購入した後も重要です。まず確認しておきたいのが、火災保険などの補償内容です。水災や風災がどこまで補償されるのかを確認するとともに、地震による損害への備えについても検討しておく必要があります。
マンションの場合は、管理組合が加入する共用部分の保険と、所有者自身が加入する専有部分の保険で補償範囲が異なります。また、建物の定期点検や設備更新、防災マニュアル、避難経路、備蓄など、日頃の管理状況も災害時の被害や復旧に関係します。投資用不動産であれば、建物の修繕費だけでなく、復旧まで部屋を貸せなくなった場合の家賃収入への影響についても考えておきたいところです。

災害リスクを知ることも、不動産選びの一つ

日本で不動産を保有する以上、地震や豪雨、台風などの自然災害リスクを完全になくすことはできません。大切なのは、災害を必要以上に恐れることではなく、起こり得るリスクをあらかじめ把握し、それに対して適切な備えをしておくことです。
立地や建物の特性を確認することはもちろん、日頃の建物管理や設備の点検、万一の被害に備えた保険など、さまざまな対策を重ねることで、災害による影響をできる限り抑えることにつながります。
災害リスクをあらかじめ把握し、適切な備えがなされているかを確認するという考え方は、個人で一棟や一室の不動産を所有する場合も、弊社の一口家主も同様です。一方、一口家主では、皆様が直接的に建物管理や設備点検などを行うのではなく、事業者が物件の管理や必要な対応を担います。皆様には、事業者から提供される情報を通じて、管理体制や災害への備えを確認していただく事ができます。
不動産投資にはさまざまなリスクがありますが、想定されるリスクを把握し、備えを講じることで、その影響を抑えることは可能です。一口家主の場合、具体的な管理や災害時の実際の対応は事業者に任せたうえで、保険の内容や管理方針、万一の際の対応体制などを確認することが重要です。不動産そのものの価値だけでなく、どのように守られ、管理されるのかという視点も、安心して資産を保有し続けるための大切な要素といえるでしょう。