128号 「高利回り」に騙されない!不動産小口化商品の落とし穴とは

とある不動産特定共同事業の商品で、賃料の支払いが滞っていると報道がありました。
利回りの高さを魅力に感じて出資した投資家も多かったようですが、今回の事態で大きな動揺が広がっているようです。
ここで押さえておきたいのは、利回りはあくまで「想定値」であり、その通りになるとは限らないということです。一般的に利回りが高ければ高いほどリスクも大きくなり、思惑通りに進まない可能性が高まります。
この記事では、不動産小口化商品の「利回りの注意点」について解説します。
(便宜上、不動産小口化商品を提供・運営する会社を「事業者」と呼びます。)

「作られた」利回りと“こんなはずではなかった”事例

多くの商品は「不動産を入居者に貸し、賃料収入を得る」ことで利回りが成り立ちます。
しかし利回りは、実は“作ることができる”のをご存じでしょうか。

利回りを高く見せる典型的な方法は下記のような方法があります。

  1. 相場より高い賃料で入居者を募集する
  2. 自社グループに相場以上の賃料で貸す
  3. 売却益まで含めて利回りに計算する

*こういった仕組みを悪用する業者が存在し、「こんなはずではなかった」ケースが生じています。

さらに悪質な例として、そもそも事業として成り立つ可能性が非常に低いにも関わらず、いわゆる「ポンジ・スキーム」を使っているとしか思えないような事業者とその事業が存在しています。

「ポンジ・スキーム」については昔のコラムでも述べたことがありますが、簡単に言うと
投資家から出資を募って、その資金を運用して得た利益を配当するという触れ込みですが実際は運用せず、後から参加した人の出資金を以前に出資した人への配当金に充てるという詐欺商法です。端的に言えば自転車操業のような仕組みです。

ポンジ・スキームは上記1.2.3と組み合わされている場合も多く、例えば事業者が自社グループに相場よりはるかに高い賃料で賃貸することで見た目の利回りを上げ、高利回りの「魅力的」な商品に作り上げることで投資家から多額の出資金を集めています。

悪質な事例に共通することは、当初は想定通りの配当が支払われるため発見が遅れ、気づいた時には手遅れになりやすい点です。
先程のポンジ・スキームの例も、そもそもが無理がある事業な為、投資家に払う多額の配当は事業者にとって大きな負担となります。新たな商品で出資金を集められなくなった場合は事業者は投資家に払う資金が枯渇し、賃料未払等が発生し最後には破綻、となることもあります。

商品タイプ別注意すべきポイント

商品を「自ら所有するタイプ」と「出資のみのタイプ」に分けて説明します。

A.自ら所有するもの(任意組合型)

所有権は投資家にあるため、事業者が破綻しても投資家の所有権は奪われません。
ただし下記のような注意点があります。

  • 立地:変えられないため、現在・将来の価値が重要
  • 賃料相場:相場を無視した高賃料は将来の下落リスクを抱える
  • 物件価格:対象が1棟ものなど大型案件の場合、相場価格が分かりづらい場合がある。

「立地」は当然ながら最重要要素です。ただし好立地でも、相場を逸脱した賃料設定であったり、取得時の価格が相場より高すぎたりする場合はリスクを抱えます。

B.出資のみのもの(匿名組合型、不動産クラウドファンディング等)

手続きが手軽である一方、所有権がないため事業者が破綻すれば元本回収は極めて困難になります。下記の点について注意が必要です。

  • 事業者の信用力:財務力が弱い業者は、破綻リスクを抱えます。
  • 利回りの根拠:なぜ高い利回りを出せるのか。上記の「作られた」利回りではないか。
  • 事業者の利益構造:事業者から見て、投資家に高い配当を払ってまで事業を行う合理的な理由はあるのか。

当社商品「JAsset」の場合

当社の「JAsset」は任意組合型の商品であり、立地や相場に特に配慮しています。

  • グループ会社(クレアスレント)の実績を活かした適正な賃料設定
  • 入居者に家賃保証会社への加入を原則義務付け(滞納リスクの極小化)
  • クレアスレントと保証会社の二重審査で入居者を選定

これにより、安定的な利回りを実現できる仕組みを整えています。
また、当社は1984年に創業し、東京都心とその周辺エリアに特化したマンション開発を行っています。賃貸管理と建物管理を含め、多くのノウハウを蓄積しています。
賃貸管理会社:クレアスレントの管理戸数は約9,000戸、平均入居率は98~99%であり、都心立地ゆえの高い稼働率がご購入者の利回りを守っています。

まとめ

不動産投資は、本来株式などに比べて安定性が魅力です。
しかし「高利回り」という言葉に飛びつくと、利回りどころか元本まで失う危険があります。
世の中に「ローリスク・ハイリターン」の商品は存在しません。
とくに問題の発覚が遅れるタイプの投資は、致命的な損失を招くことがあります。
相場や利回りの根拠が不透明な商品に出会ったときは、一度立ち止まり、冷静に検討する姿勢が大切です。